2010年 03月 28日
石川漆宝堂 醤油さし

「やはり 自分の帽子の方が似合うね。」
「そうね。取り換えっこは やめましょうか。」

「君が大好きだよ。※レッド」
「どれくらい好き?」
「春の熊くらい好きだよ。」
「春の熊?それ何よ、春の熊って?」
「春の野原を君が 一人であるいているとね、
向こうからビロードみたいな毛並みの目のくりっとした可愛い小熊がやってくるんだ。
そして君にこう言うんだよ。『今日は、お嬢さん、僕と一緒に転がりっこしませんか』って。
そして君と小熊で抱きあってクローバーの茂った丘の斜面をころころと転がって
一日中遊ぶんだ。そういうのって素敵だろ?」
「すごく素敵」
「それくらい きみのことが好きだ。」
私自身は 別にロマンチストではありませんが
こう言う文章を書けるって、素敵だなぁ。。。って 憧憬のため息です。
3行目以降 村上春樹さんの 『ノルウェイの森』 からの抜粋です。
全体を通し 絶え間なく 雨音の優しい調べが聞こえてくる様な小説。

生死の境で 生きている人たちは こんなにも 優しく 哀しい会話をするんだと・・
映画 『七つの贈り物』 を観て 『ノルウェイの森』が 思い出されました。

石川漆宝堂 醤油さし 6825円 台座 2100円
国産の欅を使った醤油さしです。本漆が丹念に塗られていますが 木地の出方がまた素敵です。70cc程入ります。液だれしません。
※小説では ミドリ(登場人物の名前)なのですが 都合上(笑) レッドとさせて頂きました。